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ワインの話
熟成 ボジョレー ヌーヴォーはピザによく合う

ボジョレーヌーヴォー2023年を熟成させて飲んでみた

ワインの話

熟成で育つ個性

ワインの楽しみの一つは「熟成」だ。収穫したぶどうをタンクに詰めて発酵させるとワインになるが、それだけでは飲めたものではない。そのワインをタンクや樽で熟成させて、飲める状態に仕上がる。さらにボトルに詰めてセラーでじっくりと寝かせれば個性が育つ。

世界中で生産されるワインの90%が生産されてから1年以内に消費されると言われている。そして2年以内だと95%を超える。つまり長期保存して熟成させるワインは少ない。

熟成できるポテンシャル

ワイン用語に「ポテンシャルが高い」という褒め言葉があるが、これはセラーで10年以上寝かせた時に優れた個性が生み出される可能性(ポテンシャル)が高いということ。この10年以上の熟成に耐えられるのは、タンニンがしっかりしている赤ワイン、酸度が高い白ワイン、アルコール度数が高い甘口ワインなどで、極めて貴重な存在といえる。

このポテンシャルはヴィンテージ年によって変わる。ぶどうが育った年の天候は、毎年天候に恵まれる地中海では大きく変化しないが、ブルゴーニュ等の北の産地では日照、降水、冷害などで大きな差が生じる。このため北の産地ほどヴィンテージ年が重要になる。

ボジョレーヌーヴォーは熟成ポテンシャルの試金石

ブルゴーニュの銘醸ワインを買い付けて、セラーで寝かせたい人にとって、その年のポテンシャルを早く知りたいならば、ボジョレーヌーヴォーを試すことをお勧めしたい。ボジョレーはブルゴーニュ地方の一部であり、ブルゴーニュの気候とほぼ同じだ。ブルゴーニュの銘酒を新酒で飲むことはできなくても、ボジョレーの新酒なら11月第3木曜日に飲むことができる。

ただ気を付けなければいけないのは、安価に出回るボジョレーヌーヴォーの多くは加熱製法と香料添加の完全な工業製品であるということ。どんな味でも付けられるので、これではその年の状況など知りようがない。自分の畑で育てたぶどうを、自分で伝統的なマセラシオン セミカルボニック製法で香料を加えずに造る生産者のボジョレーヌーヴォーでなければ、意味がないことはお分かりになるだろう。

伝統製法ボジョレーヌーヴォーは熟成する

そしてもう一つ面白いことがある。それは伝統製法のボジョレーヌーヴォーは熟成できるということ。それも9月に収穫したぶどうを11月に飲むためにタンニン抽出を抑えたことで、通常のワインよりも数倍速く熟成する。香料や合成保存料を使わないオーガニックワインなので、個性は補正されずにありのまま顕われる。

生産者の元で残していた2023年のボジョレーヌーヴォーを、少量だが船便のコンテナーに積んでもらい、試してみたので報告しよう。

熟成で個性が育ってきた2023年ボジョレーヌーヴォー

2023年はカラカラに乾燥した暑い年だった。収穫は8月末~9月頭とずいぶん早い。乾き過ぎて生産量がずいぶんと少なく、ぎゅっと凝縮したぶどうだったので、ボジョレーよりもっと南の産地(ローヌ)のような力強さがあり、動物的な香りも持っていた。

4月に試飲した時はこのアニマル感が前面に出て来ていて、肉料理でないと難しいと感じたが、今回はどうだろう。

まず抜栓。新酒の時は真っ白だったコルクは真っ赤に染まっていて、酒石が付着してキラキラ輝いている。口に含むとまだ炭酸を若干感じるが、新酒時のベリー感や甘さはほぼなくなり、また春に強く感じたアニマル感もだいぶ収まっている。肉でもいいが、チーズがたっぷり溶けたピザでいけそうだ。

熟成2023年ボジョレーヌーヴォーをピザで試す

今回はスーパーで買った冷蔵ピザ。トッピングにミックスチーズをたっぷりかけ、ベーコン散らす。お手軽だがそれなりに複雑になり、軽めのアニマル感と釣り合うだろう。

さて焼きあがったピザとワインが口の中で合わさると、昇華する感覚。そして花火が飛んだ。

う~ん、これはボジョレーだろうか!?

ブルゴーニュとは違う、ローヌでもない。でも美味い。ベーコンやチーズとの相性はよいというか、どんどん美味しくなってくる。スーパーのピザとは思えないほど、よく絡み合ってくれる。

脱帽だ。これが熟成の成せる技だろう。

解禁日に新酒と飲み較べが楽しみ

ワインとして十分に楽しませてくれるレベルであるのはもちろんだが、さらに11月まで成長させて今年の新酒と飲み較べるのも一興だ。今年のワインはどんなワインだろうと期待して解禁を迎え、去年の味と較べてみるのは楽しい。ただし1年間成長したワインだから、生まれたてのボジョレーヌーヴォーとは別次元の飲み物であるので、留意いただくことをお願いしたい。

ぶどうの栽培からワインの醸造に至るまで家族で手間も時間もかけて作り上げた伝統的な製法のボジョレーヌーヴォー。瓶詰め後、熟成中で、味わいと香りの急激な変化が楽しめます。今年のボジョレーヌーヴォーとの飲み比べもおすすめです。

  • 生産者:シュブラン家
  • 内容量:750ml(フルボトル)

田村安

マヴィ代表
著書の「オーガニックワインの本」(春秋社刊)でグルマン・クックブック・アワード
日本書部門2004年ベストワインブック賞を受賞
フランス政府より農事功労章シュヴァリエ勲章受勲
ボルドーワイン騎士Connétablie de Guyenne

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