ナチュール ピノノワール|新着のラングドックSO2無添加 赤ワインを試す
実験作品No.1 ナチュール ピノノワール
今回入って来たのは2021年のピノノワール。レヴォルさん最初の二酸化硫黄、酵母無添加の実験ワインだ。
ラベルには『No1 REGAIN』と入っている。取り戻すとは、自然な生き方に戻ろうというようなことか。「2021年4月、4日間続いた凍れる夜で60%の収穫が失われた。だからこの実験を行った」と、ここに至った説明文も添えられている。試作第1号への思い入れだろう。
今春訪問した時、レヴォルさんは「遅霜で生き残ったぶどうの芽から育った枝はとても健康で、少量ながらきれいなぶどうが実ったので、強い抵抗力を持っているだろうと感じた」と語ってくれた。
無添加だからとダレや異臭の言い訳とする、いわゆる自然派ワインは彼には受け入れられない。
ナチュール ピノノワール 2021を試飲
さて試飲。ドライフルーツミックスというか、プルーンの甘い香りとやさしい味わい。うーん美味しい。僕の嫌いなアニマルや雑味もいない。澄み切った香りでとてもきれいだ。
アルコール度数は13%とラングドックとしては控えめで、出しゃばらないのがいい。
ナチュール ピノノワールときりたんぽ鍋
初日は鶏鍋にきりたんぽを入れてみた。
我家では醤油出汁に鶏もも肉、人参、蓮根、白菜、ぎんなん等を入れて炊き、きりたんぽに染み込ませるシンプルな鍋だ。ピノノワールには邪魔なものがなく、喉の奥に酸がふんわり届き、心地よい。
鶏腿肉ときれいに絡んでくれ、きりたんぽの米の風合いを壊すことなく馴染み、すこぶる美味しい。
ナチュール ピノノワールと鰻の蒲焼
醤油との相性が抜群とわかったので、翌日は鰻の蒲焼を試す。百貨店で蒲焼を買って来て、ご飯に載せただけの手抜きメニューだ。
元々ピノノワールはうなぎとの相性がよいワインで、鉄板の組み合わせともいえるが、このナチュール ピノノワールは酸のキレが鋭く、鰻の脂をきれいに削いで柔らかな衣にまとって喉の奥に通し、そして戻る香りには生臭みは消え、美味しさだけが長く残っていた。これはベストマッチだ。
ご飯との相性もいい。我が家では直前に玄米から精白して、香りのいいご飯を炊くようにしている。赤ワインはこの繊細な香りをねじ伏せるのが常なのだが、このピノノワールはこの香りを抑え込まず、絶妙の調和を保ってくれたのも嬉しい。
そして何杯飲んでも酔わずに心地よさが進む。
ナチュールとは
ブルゴーニュの樽を効かせたピノノワールをお好きな方には向かないだろう。
でもそれでいい。ブルゴーニュではシャペルさんとペルティエさんが樽の効いた素晴らしいワインを造ってくれているのだから。
ファビアン レヴォルは、ブルゴーニュやボルドーを頂点とするようなワイン界やフランス料理界とは一線を画している。おそらく彼はそうした壁を打ち払い、和洋中エスニックなど幅広い感覚と手を繋ぐ事ができるワインこそが「ナチュラル」と捉えているのだろう。
このワインを飲んで、そう感じた。
田村安
マヴィ代表
著書の「オーガニックワインの本」(春秋社刊)でグルマン・クックブック・アワード
日本書部門2004年ベストワインブック賞を受賞
フランス政府より農事功労章シュヴァリエ勲章受勲
ボルドーワイン騎士Connétablie de Guyenne
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