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ワインの話

今年のボジョレーヌーヴォーの出来は?|2024年は生産者の経験と技量が試されるヴィンテージと予想

ワインの話

2024年はどんなシーズンだったか?

泥沼化したウクライナ戦争と、イスラエルとイランの争いでスエズ運河が通れなくなり、日本だけでなくヨーロッパも物不足と物価高が日常となった2024年。温暖化の域を超えて沸騰する海水温がもたらす異常気象も地球規模で、もはや異常とは呼べなくなってしまいました。ワイン生産者さんたちにとっても毎年対応が難しくなってきています。

気候からわかること

ボジョレー地方の中心地Villefranche-sur-Saone市の気象チャートを見てみましょう。

昼の暑さは?

昨年から続く暖冬で、1~2月は過去10年で一番暖かく、芽吹きの3~4月は低めの気温、蔓伸び葉が茂り、花から実が着く5~7月は例年並みの気温、例年なら涼しくなる8月は28℃台ととても暑く、日照は十分なものの一方積乱雲もよく湧き、雹の降るリスクも高いものの、収穫直前の高温で糖度は高まったことでしょう。

夜の冷え込みは?

2月は過去10年で最も高かったものの、3~7月はかなり低めに推移しています。遅霜のリスクが高かったことを示しています。

雨は?

3~7月にかけて毎月100㎜を超える雨が降りました。近年はかなりの豪雨も降りますが、このように毎月相当の雨が降り、畑が乾かないというのは、病害が発生しやすい状態と言えます。

酸のキレとフルーティーさを合わせ持つヴィンテージか

湿りがちな7月までで、少し遅めの生育だったのを、8月の高温と乾燥が補い、水分も糖分もしっかり含んだ果実の収穫が予想できます。

また、2023年程は気温が高くなかったことで、酸のキレも併せ持ったフルーティーさが期待できそうです。

ボジョレーの畑では

シュブランさん(サルセ・ボジョレー地区南西端)

ボジョレー ヌーヴォーを造ってくれるシュブランさんによると、この厳しい状況下、効果の強い現代の農薬ではなく、オーガニックで認められる対策のボルドー液(銅を硫酸で溶かした薬剤で、合成農薬ができる100年以上前から使われていた)を撒いたのですが、畑の一部ではベト病の発生を防げませんでした。また8月初旬に高温のため積乱雲が発達、雷雨が多発して雹の被害も受けてしまいました。しかしそれでも、猛暑と旱魃の被害を受けた去年よりは収穫量が多かったとのこと。

収穫は昨年より半月遅い9月13日から16日にかけて行い、葡萄の状態は、肉厚で酸味のポテンシャルが高いので、収穫したぶどうのカルボニック・マセラシオン(色素抽出)は例年よりも低温で短時間で行いたいとのことです。現地の気象情報を見ていると9月に入り晴天が多く、収穫の3日間はよく晴れて最高気温は17~18℃、最低気温は4~5℃まで下がったようです。

2024年のボジョレーワインの味わい予想 

低温で湿った春から初夏のベト病を潜り抜け、真夏の雹害にも生き残ったぶどうは、力強過ぎる性格になりがちですが、8月末に熱い太陽の下収穫した昨年とは違い、今年は9月半ばまで秋の太陽で半月追熟されたので、だいぶバランスが戻ってきていることでしょう。昨年よりも収穫量が多いので、全量手摘みで収穫をする際にしっかりと見極めて、ダメージのある房は捨てることができます。

ということは、力強さは持ちながらもライトでエレガントなスタイルに仕上がることが十分期待できますが、造り手によって大きな差が出てくる、生産者の経験値と技量が試される厳しいヴィンテージだろうと予想します。

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田村安

マヴィ代表
著書の「オーガニックワインの本」(春秋社刊)でグルマン・クックブック・アワード
日本書部門2004年ベストワインブック賞を受賞
フランス政府より農事功労章シュヴァリエ勲章受勲
ボルドーワイン騎士Connétablie de Guyenne

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