
今年のボジョレーヌーヴォーの出来は?|2025年は暑く乾いた年
2025年はどんなシーズンだったか?
地球温暖化というか、温暖化の域を超えて沸騰する海水温がもたらす異常気象も地球規模、ヨーロッパのワイン生産者さんたちにとっては、期待と安堵と冷や汗と絶望がいつも隣合わせが続きます。今年2025年はどんな気候だったのでしょう?
気候からわかること
ボジョレー地方の中心地Villefranche-sur-Saone市の気象チャートを見てみましょう。
昼の暑さは?

1~2月は暖冬、3~4月は比較的暖かくぶどうの芽吹きは早め。蔓が伸び葉が茂り、花から実が着く5~6月は2022年に次ぐ高温で順調に育ち、7月に若干涼しくなったが、それでも平年よりは高め。
8月は28℃台と、実ったぶどうが糖度を高めるのに理想的な日照と気温でした。
夜の冷え込みは?

1月から3月は1℃から3℃と、平年並みか若干低め。
ぶどうが芽吹く4月と、芽と蔓が育つ5月は6℃から9℃と穏やかで、遅霜のリスクはありませんでした。
花が咲く6月には一気に15℃に昇り、高温が心配されましたが、そのまま8月まで変わらずに推移してバランスが取れました。
雨は?

畑に水分が欲しい早春から初夏は理想的な穏やかな雨が降り、ぶどうが芽から蔓を伸ばすには最適でした。
花が咲き実ができる6月は100㎜と、2022年に次いで少なく、病気のリスクはほとんどありません。ぶどうの実が育つ7月から8月には、それぞれ2~4日間に20~30㎜のまとまった雷雨があり、実が過熟することなく、最良の収穫が期待できます。
糖も酸も合わせ持つ最高のヴィンテージか!
4~5月の冷害も6月の病害もなく、7~8月は30℃を超えない理想的な高温と乾燥が実をよく育て、数回の激しい雷雨が水分を補ってくれたため、糖分がとても高く、酸も比較的しっかり含んだ、理想的と言えるレベルの高品質な果実の収穫が予想できます。
2025年のボジョレーワインの味わい予想
理想的な天候で糖度が高いぶどうは、芳醇な香りと力強い味わいをもたらすことになるでしょう。30℃を超す酷暑ではなく、8月の降水量も十分あるので酸味やフルーティーさも併せ持つはずです。
ということは、力強さとエレガントさを併せ持つ、素晴らしいワインに仕上がることが十分期待できます。
今年のボジョレーはまちがいなく最良のヴィンテージとなると予想します。

田村安
マヴィ代表
著書の「オーガニックワインの本」(春秋社刊)でグルマン・クックブック・アワード
日本書部門2004年ベストワインブック賞を受賞
フランス政府より農事功労章シュヴァリエ勲章受勲
ボルドーワイン騎士Connétablie de Guyenne
マヴィ創立27周年記念オリジナルワイン&桜ロゼ