Slow MON(スロー モン)|新着のスペイン 赤ワインを試す
自由が丘店に寄ったら、ちょうど店舗スタッフの塩澤悠君が、3月に試験的に先行販売するスペイン バレンシア州のコティーノ家のMONシリーズの試飲をしていた。塩澤君はスイスのホテルレストラン学校に留学、イタリアとフランスで研修、ボルドー大学で研鑽したワインテイスティングの専門家で、マヴィのワインコメントは彼が書いている。
2時間前に抜栓したというスロー モンとモン テンプラニーリョ。一口味見したところ、どちらもすこぶる美味しい。残念ながら車の運転のためワインは喉を通すことができなかったので、予備のボトルを持ち帰って飲んでみることにした。
僕は塩澤君のようにワインを学んだことはない。ただ若い頃から半端ない量を飲んできたのと、料理界の超一流のプロ達に親しみ、フランスやイタリアやスペインの美味いと言われる店で食べ歩いてきただけだ。だから一口飲んだだけでは評価できず、1本まるまる飲まなければわからない。
スロー モンは廉価版のモンではない!
スローモンはMONシリーズで最もお手頃なワインだ。
従来からあるコティーノ家最高峰のモンもボバル、このスローモンもボバル。同じモンテサンコの畑だ。ぶどうの樹齢が比較的若く(それでも60年以上!)、醸造時の樽のセレクションの違い、樽熟成の期間が半分の6ヵ月間と短めなことが相違点。結果、趣がだいぶ違う。
しかし【MON】を名乗るだけあってクラスは同じ、VIPの舌を唸らせるためのワインに違いはない。丁寧に手間暇かけた贅沢な作品である。
ただ重い料理ではなく、気軽な料理用に造られていることは、ラベルからも伝わってくる。
スロー モンとチーズクッペ
スロー モンは軽やかな印象だったので、自由が丘の帰り道に麻布十番のポアンタージュに寄って、アペリティヴ用にちょうどよさそうなチーズクッペを買って来た。
抜栓してすぐにそのまま試飲。レストランで飲むなら2時間も待てないから、これは重要。試飲のつもりだったが、すでに滅茶滅茶美味しい! 率直な感想「なんだこれは??」
慌ててチーズクッペを皿に載せて、家内と二人でパンをちぎってはワイン一口とやってみたところ、これが停まらない。実に細かく丸いタンニンが心地よく、パン2個はあっという間に皿から消え、その間にグラスも3杯目まで進んだ。
スロー モンとビーフステーキ
これではいけないと、飲み食いはいったん中断してステーキを焼くことにした。普段ならばソースを作るところだが、このスローモンは繊細な上に食材に自分を合わせてくれると予想、敢えて塩コショウだけで留めた。
牛フィレ肉は帰って来て冷蔵庫には入れずに室温に慣らせておき、焼く直前に塩コショウ。付け合わせは玉ねぎとエリンギとセロリを炒めて添えた。
予想を裏切らず、スロー モンは塩コショウだけのフィレ肉に馴染んだ。とげとげしくないもののしっかりとしたタンニンなのに、まるでその存在には気付かせることなく、ただ肉の味が引き立てられる。
シンプルなビストロ料理でいくらでも飲める!気が付いたらボトルは空。「ヤバい、飲み過ぎた。」
しかし真価は翌朝。ふだん飲み過ぎた時に感じる体調の変化は一切なかった。
田村安
マヴィ代表
著書の「オーガニックワインの本」(春秋社刊)でグルマン・クックブック・アワード
日本書部門2004年ベストワインブック賞を受賞
フランス政府より農事功労章シュヴァリエ勲章受勲
ボルドーワイン騎士Connétablie de Guyenne
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