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旅の空
青く塗られたITA航空のA350-900

久々のヨーロッパ(1)|マスクを外して生活を楽しむ

旅の空

コロナもようやく収束の様相を見せ始めたので、思い切って、ローマに留学中の娘の顔を見に行くことにした。2019年以来、実に4年ぶりのヨーロッパ訪問。こんなに長くヨーロッパに行かなかったのは成人してから初めて、体力も言葉の感覚もおとろえてしまった。

ローマ行直行便

知らない間にアリタリア航空が倒産して、ローマ行の飛行機はITA航空となっていた。なんと2022年11月に直行便が就航してすこぶる便利。ただしロシア領空は飛べないのでシルクロード、中国の西域を通って、カスピ海から黒海、トルコ、バルカン半島、アドリア海を通過する迂回ルートとなり、歴史好きには堪らない。

左の窓からはヒマラヤ山脈の雪山、右の窓からは砂漠という、平素は見られない風景に興奮。黒海上空は危険なのだろう。トルコの領海からはみ出さないようにギリギリを飛行。それでも座席のモニターにはマリウポリやオデッサといったウクライナの都市名が映る緊張空域を通る。まさか民間機を撃墜はしないだろうが。。。

ITA航空はLLCかフラッグキャリアか?

ITA航空の質素な機内食

ITAの機内食は極めて質素。日本ー欧州航路でこんな食事に出くわしたのは初めてだ。ただ不満はない。

LLCのような存在かと思っていたが、フライトコードはアリタリアのAZを継承しているから事実上のナショナルフラッグキャリアだ。しかしどうも急造で、何もかも準備が追い付いていないように見える。

機内のケータリング用コンテナにも【ALITALIA】のロゴがしっかりと入っているのが面白い。キャビンアテンダントもアリタリアからの移籍組のように見受ける。

ITA航空の機材はAlitaliaのままで、食材コンテナにはロゴが残る

パンデミック後の世界

パンデミックを終えたローマは観光客で賑わっている。まだ中国、日本、韓国からの団体ツアーは来ていないようだが、トレビの泉はイタリア国内の修学旅行や欧米のツアー客でごった返している。

コロナが収束し、観光客で賑わうトレビの泉

100%近い人がすでに感染して免疫を付けたのだろう。マスクをしている人はごく少数だが、皆KN95クラスのマスクを着けている。日本で一般的な簡易マスクは見当たらない。ほぼ街中マスクを着けていない中で、高齢者や気を付けている人は「しっかりと感染対策をしている」ということのようだが理に適っている。

誰に聞いてもワクチン接種は3回だという。日本ではもう5回接種していて、高齢者の僕には6回目の案内が届いているというと必ず驚かれる。日本流は世界の異端らしい。ガラパゴス?もしかしたら政治的な妥協の産物なのかもしれない。何といっても日本の年齢構成は異常で高齢者が多く、特に投票率の観点からすると高齢者は重要だろう。

マスクを外したら発熱!

咳をしている人は普通に生活している。スーパーのレジのお姉さんも、不動産屋のおばさんもゴホゴホしているが、誰も気に留めていない。

重症化を防ぐというワクチン効果を信じることにして僕も妻もマスクを外して街を歩き、食べ、人と会うことにしたところすこぶる楽しい。ただ1週間ほどしたら発熱、2日間完全にダウン。寝汗の洪水で高熱が去り、鼻水と痰がからんだ咳が残っている。検査は受けていないが、きっとオミクロンだろう。

これでさっぱりと洗礼を受けた気持ちだ。まだ頭にぼんやり感が残っているが、引きこもりの生活には決別しよう。

しばらくはこちらに滞在して時差テレワーク、スペイン南仏イタリアの生産者とも旧交を温めることにする。最初の訪問はスペイン・バレンシアのコティーノ家。パコとマリアに会うのが楽しみだ。

田村安

マヴィ代表
著書の「オーガニックワインの本」(春秋社刊)でグルマン・クックブック・アワード
日本書部門2004年ベストワインブック賞を受賞
フランス政府より農事功労章シュヴァリエ勲章受勲
ボルドーワイン騎士Connétablie de Guyenne

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