フランスオーガニックワイン生産者訪問1
1月末から2月初にかけてフランスの生産者を訪問してきましたので、現地の様子を数回にわたってレポートしましょう。
3月14日に開店するマヴィ福岡店のスタッフに素晴らしい生産者たちにあってもらおうと、10日間でモンペリエで開催されたオーガニックワイン生産者大会への参加と、生産者12軒を訪問するという、とんでもない強行軍。毎日が長距離運転の連続でした。
まず南仏モンペリエ。オーガニックワイン生産者大会であるミレジムビオ。ボアソー先生と共に、生産者のスタンドを訪ねて2008年の新酒を試して、出来を見極めます。
昨年は天候が悪くて大雨で病害が出た地方や、反対に雨が降らずに旱魃となった地方もあり、生産量が激減。そんな中で香料や殺菌剤などの添加物を使わずにおいしいワインを造るのは至難のことですが、マヴィの生産者たちはみんな凄いワインに仕上げていて一安心。ただ、剪定に剪定を重ねたため、ほんの少ししか量がありません。本当に辛い年です。
この時期に生産者たちに会うのは、今年1年分の買付けをほぼ決定する重要な仕事です。
新酒は赤ん坊。まだ味も香りも出来上がっていません。どんな風に育つか、おいしくなるだろうかは、永年の経験と勘でしか判断できないのです。おいしいと思って買ってしまっても、半年後に日本に着いて飲んだらダレてしまって売り物にならないということもあるし、顔をしかめるような味が、1年後にふくよかに化けていることもあります。
そのうえ、ザワザワしたスタンドは試飲条件としては最低!だから、僕はなるべく生産者の家でゆっくりと語りながら試したいのですが、たくさんの農家に短時間で会える会は魅力的。そこで毎年ここに来てしまうのです。もちろん、その前後は農家訪問です。
観光などなく、ただ生産者を訪ねて飲み語らう。これが僕の一番好きな旅の形。
今年のミレジムビオはFIAという一般ワインの展示会と同時開催で、これまでとはかなり様子が違っていました。特徴的なことは、FIAの主役はネゴシアンで、オーガニックワインも出展していたことと、ミレジムビオにはたくさんのオーガニック転換中の生産者がいたことです。
ネゴシアンのオーガニックワインは断りもなく試飲できるので、ぐるっと周って試してみましたが、マヴィの生産者たちの素晴らしいワインの味に慣れた僕の舌を納得させるものは皆無。やはりレベルはモンブランとモンマルトルの丘ほどの差でしょうか。
困ったことにそんなネゴシアンワインは堂々と「オーガニックワイン」として輸入されてきます。そして問屋や量販店など誰にでも売るので、マヴィをご存じない一般の人達が手にする確率が高いのです!
だから「オーガニックワインは不味い」なんてことになっちゃうのですね。
オーガニック転換中というのは、農薬や化学肥料はやめたけど、まだ年月が浅くてオーガニックとは認められていないものです。どうしても畑を取り巻く生態系が戻ってきておらず、いい作物はできません。EUやフランス政府のオーガニック推進政策で補助金を受けて転換している農家がかなりいるので、彼らにも販売の機会を与えようというものでしょう。ただ、どうしてもまだまだ品質が追いついていないという感じのするものが多いようでした。
一度壊した自然はなかなか戻ってこないんだっていうことでしょうね。