フランスオーガニックワイン生産者訪問11
ボルドーからパリ・ドゴール空港までの国内線飛行機は、休息時間という感じで、ドゴール空港からはまたレンタカーを借り出してシャンパーニュの入口シャトーチエリー市まで運転です。
距離は短いものの夜間の高速道路1時間半は結構クタクタになり、高速出口の安宿ではバタンキュー、zzz
翌朝はマルヌ川に沿った国道でのんびりとエペルネに向かいます。丘沿いにブドウ畑が続く風景は雪に隠れて、なんとも寂しく、昨日までの南フランスとは大違いです。これがいかにもフランスワインの北限、シャンパーニュという風情。
エペルネの町では超大手の名門、モエ・シャンドン社を見学。立派な社屋に入ると、綺麗なお嬢さんが日本語の説明映画付きの工場見学コースを英語で案内してくれます。
シャンパーニュはパリから近いので、パリ駐在員時代にはよく日本からの訪問客を連れて、あちこちの有名メーカーを訪問していたこともあり、とても懐かしい。いかにもの高級ブランドの雰囲気がたっぷりと漂っています。今では決別した世界ですが、大手メーカーを見学すると、一般的な知識がよくわかりますので、誰かを案内するにはとても便利。零細な農家に行っても体系的な知識は説明されませんから。
大手の誇りは「毎年、寸分違わぬ、同じ香り、味のシャンパンを大量生産する」ということ。そのためにあちこちの生産者からブドウを買付けて、複数年をブレンドしています。まあ、香りは香料で整えれば、完全に同じ物ができますが、その説明はもちろんありません。そして世界中の劣悪な環境の流通にも耐えるため、しっかりと保存料が入ります。
お嬢さんに「モエ・シャンドン社の生産量は?」と質問したら、「シークレット」とのこと。「じゃあドンペリの生産量は?」って聞いてみたら、「それはトップシークレットよ」とウィンクされちゃいました。
最高のシャンパンを大量に作るのは本当は不可能。でも錬金術師はそれを可能にしちゃうのですから!
ドンペリニョン
午後にエペルネ近郊のオヴィレ村にマヴィの造り手、ヴァンサン・ブリヤールさんを訪問。こちらは対照的に超こじんまり。
モエ社では「かつて使われていた道具」コーナーに展示されている、木製のプレスがバリバリ現役で使われています。
木製プレスを説明するブリヤールさん
そして、「ブドウは毎年出来が違うんだから、毎年違うシャンパンに仕上がるのが当たり前」。
ブリヤール家の畑から見上げるドンペリニョンのいた修道院
オヴィレ村の修道院はドンペリニョンがシャンパンを発明したところで、ブリヤール家の畑は修道院の南麓斜面で、元々修道院の畑。隣はモエ・シャンドンの所有畑で、つまり、ドンペリ畑の単一畑なのです。ブレンドなんかしなくても、極少量生産だし、本来のドンペリの味に仕上がるのは当然!
午前中のモエシャンが完全に霞む最高級シャンパン。なのに僕はドゴール空港まで運転しないといけない…
福岡店スタッフや新高円寺店の久保千尋さんがおいしそうに飲み干すのを恨めしげに見るのは、仕事とはいえ辛いところ(泣)
シャンパンをテースティングする新高円寺店の久保さん
そして高速道路をぶっ飛ばして無事ドゴール空港へ。
その夜発の成田行きで帰国の途に着いたのです。
かつて経験したことのない、猛烈なスピード*で巡ったフランス生産者訪問でしたが、福岡店は3月に開業し、新高円寺店は10月28日の開店の運びとなりました。
*10日間でモンペリエで開催されたオーガニックワイン生産者大会への参加と、生産者12軒を訪問
ノロノロと休みがちに書いてきた訪問記も、新高円寺開店に合わせて書き終えられ、ほっとしてます。
来年はマヴィのお客様向け訪問ツアーを、バスを仕立ててやりたいと思っています。
お楽しみに!
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