フランスオーガニックワイン生産者訪問6
ペルピニャンはピレネー山脈の麓で地中海に臨み、フランスでも一番晴れる日が多い都市です。元々バルセロナと同じカタロニアの都市だったのを、スペインとフランスが分割して国境線を引いてしまったので、国は違ってもどこか似通った雰囲気があります。
ブーリエ家はペルピニャンから海岸沿いのスペイン国境に向かうルートで、中心地から20分ほど。ピレネー山脈最南端の高峰カニグー山が迫ってきます。
ブーリエ家の造り手は奥さんのセブリーヌ。ボルドー大学で醸造学を学び、そこで農学を学んでいたご主人のフィリップと出会い、この地に嫁いできました。2人の子供の母でもありますが、ワイン造りには一切の妥協をしません。
このあたりは安ワインの産地で、量が取れればいいとされてきました。農場に元々あった醸造タンクはコンクリートやスチールの巨大なものだったのですが、彼女は毎年投資をして、小振りな設備に置き換えてきています。ワインの酒質を決めるのは完全な管理とブレンド。小型のステンレスタンクやオーク樽で完璧な状態で熟成されているワインを混ぜ合わせることで、狙ったとおりの味と香りとキレを完璧にプロデュースします。
セブリーヌは蔵の中での作業を明るい気持ちでしたいからと、古いタンクを虹色に塗ってしまいました。こうした新鮮な発想から、クリエイティブなワインを思い付くのでしょう!
セブリーヌの作り出す作品はどれも素晴らしいワインばかりですが、さらに昨年からマヴィオリジナルワインをカベルネソーヴィニョン100%で製造してもらっています。カベルネソーヴィニョンというとゴツゴツした骨格の強いワインを想像しますが、マヴィがお願いしてしているのはどんな料理にも合わせやすい、軽やかさとまろやかさを力強さと併せ持つという、難しい注文です。しかも1980円という、破格の価格で販売できる低コストも!
企画1年目の去年もよいワインでしたが、2年目の今年は満を持して取組んでもらったためか、あまりの出来栄えにびっくりするほどの仕上がりになっています。
昼食には車で15分の地中海で獲れた生ガキ!ちょうどセブリーヌのお父様がボルドーから来ていて、黙々と殻をむいてくれました。
新鮮なカキにはコートドルーションの白ワインにぴったりでした。
ブーリエ家の素晴らしさはワインだけではありません。農場に新築した住まいのレベルも凄い。ガラス張りの広い空間、センスのいい家具、さりげなく置かれたオブジェやモダンな絵画。整然としかも計算し尽くされた配置。しかも小学生の子供たちがいるというのになんでこんなにきれいに片付いているんだ!
何度訪問しても、繰り返しその魅力の虜になります。はっきり言って、ブーリエ家は別格です。