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旅の空

フランスオーガニックワイン生産者訪問7

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ブーリエ家で地中海の海の幸をたっぷりいただいて、山の中のベリュー家へと向かいます。

距離は160kmとたいしたことはありませんが、高速道路ではなくて、一般の街道を海から一気に登るうねうねとカーブの連続するコースです。景色は巨岩あり、ノコギリ大断層あり、渓流ありの趣溢れる道なのですが、昼食をゆっくり楽しみ過ぎたため、アクセルを踏みっぱなしですっ飛ばし、街道をそれて山道に入って、もうこの先は何もないのではと思えてきても、なお道を続けて、ようやくベリューさんの住むロケタイヨ村にたどり着いたのは夕暮れ迫る4時半になってしまいました。

この村は小高い丘の上にあって、中世に城が築かれたほどの要衝だったのでしょうが、それからはまるで時の流れから取り残されたこのような気がします。それもあちこちに石壁だけが残った建物の廃墟があります。ローヌのマリーピエールも半分廃墟みたいな修道院の建物に住んでいますが、ここでは村全体がそんな感じです。どうもこういうことを寂しいなどとは思わないのが、中世を引きずったヨーロッパ人なのかもしれませんね。

ベリューさんの住む家も実はそんな廃墟を自分で修復したものなのです。過去数年間訪問するたびに壁ができたり、屋根が付いたり、階段を設置したりと、住みながら少しずつ進化してきたのですが、今回はほぼ出来上がっていました(笑)

お金を出せば何でもできるのではなく、お金はなくても自分でやればいいし、思い描いたことがゆっくりと実現できることって、とても楽しい。マヴィの生産者さんたちと付き合っているといつも感じるのですが、ベリューさんやレニエのランポンさんは特にお金が無い分、顕著です。何もかも不足していても、考え抜いて素晴らしい創造をやり遂げられるのですよ。

ベリューさんの発酵タンクは、ホームセンターで買ったグラスウールとアルミシートを組み合わせた断熱材を纏っています。家を自分で建てている時に、こうすれば安くできるって思いついたそうです。僕もフランスに住んでいた時、家の屋根裏に断熱材をたっぷりと自分で貼り付ける作業をやりました。建材の断熱材は使う量が多いので安いんです。でも効果は絶大。日本では断熱をないがしろにしていますが、本当にもったいないことをしているって感じます。

フランスでスパークリングワインが「発明」されたのはシャンパーニュではなくて、リムーの修道院です。そのリムーの山中でベリューさんは、昔ながらの歩留まりの悪いやり方で古代製法のブランケット ド リムーを守っています。シャンパンみたいに名前が知られていない為、どんなにおいしくても高くは売れません。だからあまり儲からないのですが、物々交換や助け合う精神という現代とは違った暮らし方が残る山中なので、困るわけでもありません。そんなライフスタイルが魅力なのでしょう。

石畳の狭い通りを挟んだお向かいは民宿をやっています。バカンスで1-2週間滞在する都会からのお客が多いそうです。喧騒を逃げ出し、タイムトリップするには最高なのですが、今回はマヴィ福岡店開店へ向けての研修駆け足訪問。たった2時間しかいられなかったのは残念至極(泣)

2024年オーガニックボジョレーヌーヴォー到着