フランスオーガニックワイン生産者訪問4
ドウェル家のすぐ近くのホテルで泊まって、翌朝は朝食もとらずに早朝の出発。行き先はポンス家、ローヌ川に沿って一路北へ向かいます。
途中、高速道路のサービスエリアでPaulのパン屋があったのでクロワッサンで朝食。近頃日本でもPaulがあちこちに出来ておいしいパンが手軽に買えるようになって嬉しいですが、フランスではPaulはもう駅や空港だけでなくサービスエリアにも進出して、味気ない高速道路が一変した感があります。
ポンス家はアビニョンの北50kmほど上がったローヌ川の西岸で、殆んど平地という感じの緩やかな田園にあります。凄いワインの造り手というより、いかにもおおらかな典型的な農家です。コート デュ ローヌといえばぽってりとした赤。そんな教科書どおりのワインは、先祖伝来の蔵付き酵母が住み着いたコンクリートタンクから生まれます。コンクリートタンクの掃除は小さな穴から入ってデッキブラシでという困難な労働。ステンレスタンクやタイル張りタンクとは違って微生物が住み着きやすい環境。収穫して仕込む9月初の気温はかなり高めなので、さまざまな微生物が動いて、複雑な味と香りを生み出します。これがコート デュ ローヌの特徴である、特有のぽってり感を生み出します。
パリのビストロや食堂で、薄いステーキやパテにはこんなコート デュ ローヌが定番。ノスタルジーを感じる味わいです。ポンスさんの家には先祖代々伝わった古い家具が大事に使われています。温かみで満ちたダイニングルームで奥さんの手料理をいただきましたが、まさにコート デュ ローヌにぴったり。ついモリモリと食べてしまいました。
2007年のコートドローヌは天候に恵まれ、すばらしい出来栄え。しかし最高の年だった2007年から一転して2008年は難しい年。ポンスさんの生産量も4割減だそうです。
食後ベランダに出てみると、冬の陽だまりによく似合うブランコがあり、のんびりと揺らしてみました。
ポンス家は、ワインのキレが云々というよりも、ミディ地方の穏やかな田舎を余すところなく味わえるホッとできる癒しの空間。コート デュ ローヌを飲むとそんな空気がきっと伝わって来るから人気があるんだろうなと、納得。