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旅の空

ガリシア~ポルトガル、ノスタルジックな夏休み3

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スペインにはパラドール ナシオナルと呼ばれるシステムがあります。直訳すると国民宿舎ですが、日本のものとはちょっと意味合いが違い、重要文化財の城や教会などの歴史的建造物の中がホテルになっていて宿泊できます。地震の無い石の文化だからできることで、木の文化の日本では姫路城や金閣寺がホテルになっているようなもの、とても発想さえできないでしょう。Baionaの侯爵家の城もパラドールになっていて、今回は海の見える部屋でゆったりと過ごそうという訳です。

城門は観光客で混み合っています。パラドールは城の中なので、車で中まで乗りつけるのですが、切符切りの方に門を開けてもらい、徒歩の観光客をかき分けて城内の細い石畳の道を登って行きます。要塞なので途中はずっと石垣で、大砲が置いてあったりしていい雰囲気です。侯爵家の居城ですから、庭も美しく、南国らしい濃い色の花も咲き乱れています。そして登りきったところが館でパラドールになっています。

駐車場にはマドリッドナンバーの高級車がずらりと並んでいます。そう、これも国民宿舎とは違う点で、実は町一番の高級ホテルなのです。第二次世界大戦で中立を守ったスペインには、貴族や大地主やブルジョワが温存されており、パラドールは彼らが伝統のある建物で楽しみたいからと、国策会社で運営させています。

ただ、こういう場所のレストランは格式ばかりでおいしくないのが常。さっさと町に降りるのが得策です。城門を出て、ヨットハーバーに面したところ、いかにも美味しそうなエビやイワシを並べている店を発見!店構えはしっかり、かっこいいマダムが仕切っていて、サービスもきびきびしています。これならば大丈夫とテラス席に着いてランチ開始。

まずはカルド(ガリシア風野菜スープ)、メインにシガーラ(海老)とイワシの塩焼き、ワインはリベイロの白。強すぎない日差し、潮風が涼しく時間がゆっくりと流れ、デザートのプリンにたどり着いた頃には優に2時間過ごしていました。

この町一番(それくらい美味しい!)のレストランの常連になることにし、毎日揚がったばかりの魚介類をたっぷり食べてはリベイロの白ワインをガブガブ飲み、日がな過ごして、夜はホテルのラウンジでジャズピアノの演奏を聴きながら、中国茶をすすったりで、たっぷり充電。ジャズピアノ奏者とも顔見知りになると、荒城の月をジャズアレンジで弾いてくれたりするのも、リゾートの楽しみ。毎晩居合わせるのはマドリッドから来た長期滞在らしい一家で、大人たちが真夜中過ぎまで強いアルコールを飲みながらけたたましくおしゃべりに夢中、子どもたちはトランプ。

なんともノスタルジックな光景を演出してくれたBaionaのパラドールでしたが、滞在はたった2泊。心を残しながら、たった1週間で思い出の地を辿り、ハードな巡礼ドライブへと旅立つところで、旅日記の第一幕はおしまい。

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