ボジョレーヌーヴォー2023を和のビストロ料理で
2023年はボジョレーらしさを持った優秀なヴィンテージ
2023年、コロナ禍が明けたもののウクライナ戦争2年目で物不足と物価高に翻弄された年。気候変動はもはや沸騰するレベルとなり、南仏や地中海諸国では40℃を大幅に超す猛暑や洪水が常態化したが、幸いにもフランス北部はそこまで熱くならずに済んだ。
もちろん平年よりも日照量が多く、ぶどうは糖分をしっかりと作れ、雹や病害も起きなかったので微生物汚染はなく、久々に王道のボジョレーらしいヌーヴォー、その中でも極めて優良なヴィンテージだろうと期待してボジョレーヌーヴォー解禁日を迎えた。
まずはそのまま飲んでみた
シュブランさんのボジョレーヌーヴォー2023年を抜栓、グラスに注ぐ。昨年とは違い色は淡く、これぞボジョレー色。
口に含むと穏やかな果実味、チェリーだ、酸の存在がハッキリわかる。香りはブラックチェリーとカシスを感じる。
まさに王道のボジョレー、これは和食だ!
舞茸と油揚げと葱を炒めたおばんざいにボジョレー ヌーヴォー
まずは日本酒を思い浮かべる、サクッと作る京都風のおばんざい。
油揚げはたっぷり使いたい。フライパンに水を張り、油揚げ2枚を放り込み5分程茹でたら湯を捨て、そのまま中火で油揚げを乾かす。丁寧にひっくり返しながら、表面のきつね色がちょっと濃くなるくらいまで水気を抜き、舞茸と葱を加えてそのまま炒める。油揚げの油分で十分だから、決して油を垂らさないこと。
みりんと薄口醤油を加えてネギがしんなりとしたら火を止めて、濃い口しょうゆをほんの少し垂らすと醤油の香りが壊れない。
シュブランさんのボジョレー ヌーヴォーとは口の中で混じり合い、実に美味しい。
和ビストロのメインはやきとりにボジョレー ヌーヴォー
夕方一口試飲して頭に浮かんだのがヤキトリ。
作るよりも買った方が早いと、近くの百貨店までひとっ走り。せっかくだから、ねぎま、つくね、肝、ハツとバラエティーを揃え、味も塩とタレの両方にした。
ボジョレー ヌーヴォーはどのヤキトリもそつなくこなし美味しいが、特にタレのハツに合ったのが意外だった。
締めは鯖寿司にボジョレー ヌーヴォー
百貨店に僕の好物、いづうの鯖寿司がたまたま売っていたので、ボジョレーのことは抜きにして、つい買ってしまった。合うはずはなかろうが。
周りの昆布を外し一口齧る。グラスのボジョレー ヌーヴォーを一口啜る。
美味い!
鯖寿司の上品な酢とボジョレー ヌーヴォーの上品だがしっかりとした酸が絶妙にバランスした。
今年のボジョレーはぜひ和食で
ボジョレーの製造方法は赤ワインというよりもロゼに近い。色合いから誤解されやすいが、重い肉料理には不向きなワインなのだ。特に今年は王道の味わいで、和食向き。
ワインとしても可愛らしい香りを邪魔する要素がない、すばらしい仕上がりなので、料理も華美に走らない上品な和のビストロ料理で味わっていただくことをおすすめする。
田村安
マヴィ代表
著書の「オーガニックワインの本」(春秋社刊)でグルマン・クックブック・アワード
日本書部門2004年ベストワインブック賞を受賞
フランス政府より農事功労章シュヴァリエ勲章受勲
ボルドーワイン騎士Connétablie de Guyenne