ボジョレーヌーヴォーには豚しゃぶ
待ちに待ったボジョレーヌーヴォー解禁、真夜中過ぎに早速飲んでみた。
先月書いた通り、僕は気象データから見て、今年の出来を「糖分が勝ち過ぎず、ボジョレーらしい酸もしっかりと期待できる」「ここ数年で一番の味わいになっているかもしれない」と予想していた。
果たして、シュブランさんはその期待を裏切らず、色味香りが三拍子揃い、酸と糖のバランスが絶妙なオーガニックボジョレーヌーヴォーを完成させてくれた。
まさしく僕好みのボジョレーヌーヴォーで、まだ未完成感は残るが、単独で飲んでも全く飲み飽きることがないくらい美味しい。数日でもっと育ってくれそうだ。まあ、細かなテースティングコメントはボアソー先生が書いているので、そちらに任せよう。
さて真夜中だし、お手軽な豚しゃぶにシュブランさんのオーガニックボジョレーヌーヴォーを合わせてみた。
何も食べなくてもワイン自体がすごく美味しいのだが、豚肩ロースに蓮根、長芋といった根菜類とシュブランさんボジョレーヌーヴォーの相性は抜群。
胡麻だれと柚子ポン酢で較べてみたら、綺麗な味わいのボジョレーヌーヴォーには、柚子ポン酢がより美味しい。因みに僕のポン酢は鳥取県伯耆大山の田宮さんのゆず酢と、島根県奥出雲の井上さんの濃口醤油を混ぜて、岐阜県飛騨川の加藤さんの本みりんをたっぷり使い、鍋の茹で汁で薄めたもの。
「こんな時間に飲みたくない」などと言っていた家内が「一口だけ」と試飲した途端「美味しい」とグラスを返さず、娘も参入して奪い合い、あっという間にボトルが空いてしまった。
ミクロフィルターはかけないので、新酒にもかかわらず澱と酒石がたっぷりと出る。
これがあるからどんどんと急速に熟成していくのだが、慣れていない方はギョッとされるかもしれない。大手メーカーみたいに熟成など考えずに抜いてしまった方が売りやすいだろうけど、美味しさ第一だから、そんな妥協はしたくない。
明日金曜は松江に出掛けるので、地元で評判の割烹にランポンさんのオーガニックボジョレーヴィラージュヌーヴォーを持ち込んでみることにしよう。
田村安
マヴィ代表
著書の「オーガニックワインの本」(春秋社刊)でグルマン・クックブック・アワード
日本書部門2004年ベストワインブック賞を受賞
フランス政府より農事功労章シュヴァリエ勲章受勲
ボルドーワイン騎士Connétablie de Guyenne