ビーフステーキに「食材に魔法をかけるマスタード」|塩コショウもソースもなしでも美味しい
隠れ家フレンチONZE
鳥取県米子市の郊外に「ONZE」(オンズ)という、隠れ家のような素晴らしいフランス料理店がある。マヴィ特約店のはた酒店さんのボジョレー解禁の会を、2015年と2019年にここで開催させてもらった。
初回も美味しいと感じたのだが、2019年11月の会では、泉シェフのマニアックともいえる探求心の凄さと、集中力、確かな技術で作り出される料理の美味しさに感服して、次回はゆっくり食べに行きたいと思ったのだが、残念ながらコロナ禍でずっと訪問できていない。
食材に魔法をかけるマスタード
昨年暮れ、はた酒店の店主畑真理子さんから電話があり、ONZEの泉シェフが僕に話がしたいという。翌日、泉シェフに電話をすると、「店で提供している自家製マスタードを壜詰めにしたので食べてみて欲しい」とのこと。
数日して宅急便で届いたマスタードを一口味わってびっくり!これまで食べてきた市販のマスタードとは別物で、本当に美味しい。辛さをほとんど感じず、それよりも色々な味が押し寄せてきて美味。
マスタードシードは潰さずホールのまま調味液に漬けているので、プチプチした食感が楽しめる。
いわゆる辛子というよりも、フランス料理のマスタードソースに仕上がっていて、何にかけても美味しく食べられるだろう。
市販のマスタードと較べたら
冷蔵庫にあったフランス産の粒マスタード(有名なM社製)と較べてみると、ONZEさんのは粒が大きく整った形で、舌に載せると弾力があってイクラみたいにプチプチと味わえる。
一方、M社の物は辛さがより強く単調、苦味も感じてしまい、口に長く留めておきたくない。
ビーフステーキをマスタードだけで食べる
まずはミックスマスタードをニュージーランド産のテンダーロインステーキ(フィレ肉)に合わせた。牛肉は肉の中でも味がしっかりしているので、イエローよりコクのあるミックスが向いている。
肉に塩コショウをしないで焼くフレンチスタイルで、普通ならちゃんとソースを用意するが、味見なのでマスタードを添えるだけにしてみた。驚いたことに、【食材に魔法をかけるマスタード】だけでも十分美味しい。テレワーク後の夕食ならこれでもいける。
もちろんソースも用意して、そこにマスタードソースも添える方が、よりフランス料理店に行ったような本格的な味が楽しめるだろう。
ワインはシチリアのククルーロ家の白ワイン、グリッロを合わせてみた。今回はビーフステーキだがフィレ肉で、赤ワインソースを作らなかったので、しっかりした白ワインでも美味しく合わせられる。
ビーフステーキの焼き方
ビーフステーキは焼くだけの料理だから、焼き方が大事。僕の好きな「火が通っていて肉の芯に赤みの残る」ミディアムレアーの焼き方はこんな感じだ。
- 肉の厚さは2.5㎝に切ってもらう
- 焼く45分前には肉を冷蔵庫から出して、室温に戻す
- 塩コショウはしない
- かなり熱く熱したフライパンに油は引かずに肉を載せ30~40秒間焼く
- 肉をひっくり返して蓋をして30秒間焼いたら火を止める
(ここでブランデーを少し振りかけると香りが移る) - そのまま数分放置して肉の芯まで熱を通す
*フライパンの材質や厚みに応じて加熱時間や放置時間を調整して、自分の好みの焼き方を見つけて欲しい。
グリッロ 白
- タイプ:白ワイン
- 産地:イタリア・シチリア
- 生産者:ククルーロ家
- 内容量:750ml(フルボトル)
辛くはないから、肉が見えなくなるくらい、こんなにたっぷりと塗ってもいい。
フランス料理の美味しさの決め手はソース。手間の一番かかるのもソース。だからフランス人はお皿にソースを一滴も残さない。このマスタードソースもバゲットで拭って食したが、実にうまい。
手軽にブロッコリとスナップインゲンを茹でて肉の皿に盛ってみたが、マスタードソースだけでもいいし、酸っぱくないマヨネーズを併せて添えてみるのもよい。
【食材に魔法をかけるマスタード】には、原料のマスタードシードの種類から、イエローマスタードの【イエロー】、イエローとブラウンを混ぜた【ミックス】の2種類ある。
【イエロー】の方がより辛さ控えめでマイルド。【ミックス】も辛さが強い訳ではないが、味にトーンがあり、その分コクがある。合わせる食材や好みによって選んで使いたい。