マヴィ設立以来のこと14
オーガニックワインの本2
そんな時、出版社にグルマンクックブックアワードでベストワインブックに選ばれたとの連絡があり、そんな賞聞いたことがなくいぶかしんでいたら、同じ2004年に栗原はるみさんが入賞したとの大々的な報道があって知られるようになりました。にもかかわらず私の本の書評は載りません。やはり広告主の意に沿わないことは避けたいというのがメディアの本音のようです。それでもオーガニックワインの本はゆっくりと売れていき、2年かかって初版が売り切れ、2007年春に改訂版を出せました。
オーガニックワインの本を読んで連絡をいただくことがよくあります。この本で「目からウロコが落ちた」と言っていただくこともあります。一方ワイン通を自称するするサイトでの評は「シュレッダーにかけるべき悪書」などともあります。騙まし、騙されるのがワイン業界とワイン通消費者のあるべき関係なのでしょうから、消費者の目にはしっかりウロコを貼り付けておかなければなりません。そんな護魔札みたいなウロコをポロリと落としてしまうのですから、まさに許しがたい悪書そのものなのでしょう。
その悪書の著者が狙われるのは世の常。論破する識者を立てるのかと思いきや、どうも積極的無視という戦法を取ったようです。
とは言え書店に並び、図書館に置かれ、amazonで検索すれば出てくるのですから、探そうとする人の目には留まります。
百貨店のバイヤーさんや有名ホテルのソムリエさんなども、本を読んだと言って連絡をいただくことがあります。某百貨店の課長からもそんな経緯で手紙をいただきました。百貨店の売場はスーパーや専門店に圧されて運営が難しくなっています。そこで上質を求める消費者をターゲットにした商品を求めているのですが、既存のワインではどこにでもあるものとの差別化ができません。やはり本物を扱いたいという思いだったのです。
まず催事で扱って様子をみたいとのことで、低温ショーケースを用意して並べてみたところ、飛ぶように売れてしまいました。デパート催事でそんな売り方をしたワインはなかったので、お客様の興味を引き、温度管理が必要なことや化学肥料、農薬、香料の話を聞くと、納得してまとめ買いやリピーターとなるお客様ができたのです。スタッフ向けセミナーやお客様向けのオープンステージ講座を実施したところ、とても好評で、数回催事を繰り返して充分な実績をあげて、さあ売場定番にということになり、展示用ダミーボトルを準備して、低温保管場所も確保できました。ところが、突然にストップがかかりました。他メーカーの経営者より役員レベルでクレームが付いたのです。「田村の言っていることは業界の秩序を乱す」というのがその理由です。現場が本物を扱いたいと願い、顧客より支持された実績があっても、マヴィはダメだったのです。
- オーガニックワインの本(春秋社刊)
(続く)