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マヴィ史

マヴィ設立以来のこと8

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特約店会コパン ド マヴィ1

チェーンとの取引をしない。問屋との取引もしないというと、直接酒販店と取引をすることになります。別にたいしたことないように聞こえますが、これが大変!そもそも酒販店は全国に何軒あるか知りませんが、まさに玉石混交。酒販免許規制緩和時代に過去の遺物となったような酒販店が多く、どんどん廃業しています。十年後には勝ち組1-2割の店しか残らないといわれる業界です。航路図も水先案内もなしに漕ぎ出すには危険すぎます。それにそもそも独立したお店の1軒1軒どうやってマヴィのことを知らせればいいのか…と。

そもそもチェーンや問屋を通じての取引には、流通面での必然性があります。酒販店との直接取引は、よほど知名度が高い大企業で、大勢の営業マンをかかえて、全国に支店営業所でも持っているとか、地方の地酒の酒蔵で、地域の情報に精通しているというのでなければ成り立ちません。ですから、小さいワインインポーターは輸入だけを行い、国内の販売、流通は問屋やチェーンを通じてという図式になる訳です。

実は私も当初は問屋にお願いしようと考えました。日本名門酒会という組織があります。かつて地酒ブームを創ったと言っても過言ではないほどの会で、昭和50年代の大手全国ブランド全盛時代に埋もれた地方の酒造メーカーの酒を発掘しては、会員の酒販店に紹介して卸売流通したのです。かつて地酒は地元で飲まれるのが当たり前だったのですが、高度成長期に地方は過疎化して消費者がいなくなるだけでなく、都会で売れる全国ブランドがTV広告を流すので、地方の消費者も灘や伏見の有名酒を求めるようになり、地方の酒造メーカーはとても耐えられず、大手メーカーに造った酒を桶売りしたり、次々に廃業に追い込まれたりしていきました。桶売りというのは、できた酒を自分で瓶詰めせずに、タンクローリーで灘や伏見の大手メーカーに売り渡すことです。大手メーカーはあちこちの酒を混ぜ合わせ、香りや味を加えて調整(!)して瓶詰め、有名メイカーのラベルを貼り、TVコマーシャルで全国津々浦々へ送り出す訳です。

これはちょうどフランスでも大ネゴシアンがやっていることと全く同じ。ボルドーの有名大メーカーの中身はフランス国内どころか、スペインやイタリアからのワインが混ぜられていることは業界の公然の秘密です。アルコール業界は洋の東西を問わず国税局管轄のお金が尺度の世界。そもそも飲み手は蚊帳の外で、はっきり言うと騙してもいいから、たくさん支払ってもらい、業界が儲かり、可能な限りたくさんの税金搾り取れればいいという発想が支配しています。だから糖分やアルコール添加して数量を二倍三倍に増やすのも当たり前。飲むに値しない品質は香料や味付けでごまかして…となってしまったのですね。

行き過ぎると揺り戻しがあるのは当然。都会の裕福な飲み手の中に、画一の全国ブランドはつまらない!という向きが出てきたのです。この層が日本名門酒会の地酒に飛びつき、地酒ブームが起きました。日本名門酒会の会員店になるには審査があり、信用のある優良店ばかりだったこともあり、昭和60年頃から平成にかけては一世を風靡した感がありました。この日本名門酒会というのは、実は「岡永」という歴史のある中堅酒問屋が運営するボランタリーチェーンです。当時紹介してくれる方がいて、神戸の花山酒店と取引を始めていたのですが、この花山酒店の上野社長は日本名門酒会の関西地区の世話役をされていて、岡永の飯田社長にマヴィのオーガニックワインの話をされたことから、飯田社長が浜松町のマヴィ事務所に訪ねて来られて、お取引を始めることになりました。

岡永では営業スタッフを集めてオーガニックワイン勉強会をしたり、会員店の集まる大会にブース出展して試飲をしたりしましたが、全く売れません。やはり問屋から仕入れようとする酒販店はブームを待ってから動く、気概のない受身の店がほとんどだったようです。後からわかったことですが、時代を先取りする酒販店は自分で動き、これはと思った蔵元を直接訪ねて、問屋を通さずに直取引をするため、すでに名門酒会には頼っていなかったのです。これではダメだと感じて、半年で岡永との取引関係を辞退しました。

(続く)

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