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マヴィ史

マヴィ設立以来のこと3

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EUOFA設立

1999年9月、フランス大使館よりお声がけをいただき、福岡の食品展示会でオーガニックワインのブースを出していたところ、有機農産物認証団体の役員と名乗る人が来て、「有機JAS制度ができたら外国のオーガニックは輸入できなくなるぞ、今さら外国のオーガニックを紹介したって無駄だ!」と、大変な剣幕でまくし立てたのです。私もかっとなり「世界で最も進んだヨーロッパのオーガニックを締め出すというならやってみろ」と言い返しました。そして、東京に戻り一晩考えて早朝2時間でNPOヨーロッパオーガニック食品普及協会設立の企画書を書き上げました。ヨーロッパのオーガニック農業がいかに素晴らしいものであるか、また、ヨーロッパで長く運用され実績のあるEUオーガニック認証制度を、日本人に広く知ってもらおうというのが趣旨でした。

これを持って、まず旧知のフランス大使館のアラン・ヴェルディエ農務官を訪ね、協力をお願いしたところ大賛成、理事就任を快諾してくれて、発起人候補にと数社のオーガニック食品インポーターを紹介してくれました。これらの会社をまわり、経営者たちに説明したところ、誰もがこうした広報活動を必要と思っていたと、賛同してもらえました。そして10月にEU東京代表部の農務官会議にてプレゼンテーションを行い、ドイツ大使館のシュレーダー参事官とオーストリー大使館のハルトレープ商務官からは強い賛成表明をいただき、各国の農務官たちも支持してくれることになったので、12月6日にNPO設立総会を開催して、正式にヨーロッパオーガニック食品普及協会(EUOFA)(現、オーガニック協会)を発足させました。

当時NPOは法律ができて日が浅く、どんなものかがさっぱりわからなかったのですが、たまたま区役所に用事があり、待たされている間の時間つぶしに置いてあった新制度説明のパンフレットを読んでいたら、これは使えそう!と、ピンときて、すぐに都庁に問い合わせ、都庁地下の売店で申請の手引書を買って勉強。会社設立の時と同じようにわからないことは何でも質問。何も知らないのを恥ずかしがる必要はないし、お金もかからない。役所はそのために窓口を設けているのだから、必ず教えてくれます。

ヨーロッパでは1980年代に各国でオーガニック農業と食品に関する法律が出来て、それぞれの国でバラバラな対応がされていたのを、1991年にEUとしての共通基準を設けて、以降はひとつの認証制度として運用されています。つまり世界初の国際認証制度として機能しているのです。EUOFAではまずこの共通基準を翻訳して公表しました。残念ながらどこからも補助金がつかず、お金がないのでプロの翻訳家にお願いできず、結局、会員の中から数名の非常に優秀な女性たちがボランティアしてまとめてくれました。しかし結果として却って良かったのです。というのは、実務としてオーガニック製品に関わっていて、知識と経験があるため、プロ翻訳家が訳すよりも精度が高いものに仕上がったからです。実際、後日農水省のJAS有機認証制度導入担当官とやりあった際も、農水省が発注して翻訳したものよりも、正確な内容だと驚かれていた程です。ボランティアの凄さはこれです。個々人の意志と能力の高さをしっかり方向付けることで、税金をただ漫然と使うよりもいい仕事ができる。それがNPOの真骨頂でしょう。

EUOFA事務局をお願いしている長谷川浩代さんはNPOの収入が足りないので、マヴィから出向しています。彼女は経営コンサルタント会社を退職後、フランスで料理修行をしたのですが、特にアルプス山中のオーガニック農家民宿で働いた経験が忘れられず、帰国後も毎年夏の3ヶ月はその農家民宿に働きに行くことをライフワークとしています。フランスの農家ですが、ヨーロッパ中からたくさんのバカンス客が長期滞在して、オーガニックな生活を満喫しているそうです。マヴィに入社の際も毎年3ヶ月のフランス行きというのが条件になっており、ヨーロッパと日本の架け橋を体現している人で、EUと各国の情報収集と翻訳という作業にはうってつけの優秀なスタッフです。

EUOFAの優秀なスタッフと優秀なボランティア、また農務官会議のメンバーのお陰で、私は思いついたことをどんどんやってきました。ヨーロッパは世界最高のオーガニック農業レベルを誇っていますが、国内市場もまた大きいので海外に向けて情報をあまり出してきておらず、特に日本の場合は日本語での資料が皆無だったので、ほとんど情報が入ってきません。輸入業者は輸出者が一方的に送ってくる断片的な、時には間違った情報を鵜呑みにして流すので、数多くの誤解が生まれています。そもそもオーガニックとはいったい何なのか、という基本的なことさえわからないままに、まるで象をなでて、触った範囲のみで感じたことをめいめい勝手に話すようなものです。このままでは何年経っても誤解が解けることはありえません。そこで、EU政府や各国の専門家が来日するたびに講演会を開催、生の情報を聞くようにしました。ちょうど有機JAS導入直前だったため多くのオーガニック専門家が来日するという幸運に恵まれ、EUOFAのオーガニック情報レベルは急激に高まっていきました。

(続く)

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