
久々のロヴェロ家訪問
先週からローマに来ている。せっかくなのでピエモンテのロヴェロさんを訪ねることにした。イタリア国内とはいえ、ローマからトリノまでは新幹線で650㎞、そこからアスティ近郊のロヴェロ家までレンタカーで60㎞で往復1420㎞の移動、そうそう簡単に行けない長旅だ。
ロヴェロ家の当主エンリコとは昨年モンペリエのミレジムビオで会っている。しかし奥様や子供達と会うのは10年ぶりなので、17歳になった三つ子たちの成長に驚かされた。そして3人とも今年から1年間の英語留学に行かせるとのこと。どこでも親は大変だ。
Mandorlo(マンドルロ):桜そっくりのアーモンドの花
イタリアの春を彩るマンドルロの花をご存知だろうか?桜かと見間違えるほど美しい、まさに桜色の美しい花だ。桜より少し早く咲き、すぐには散らない。いつまでも咲いていると思うのか、イタリア人がマンドルロの花の下で花見の宴を開くのを見たことがない。
この季節にロベロ家を訪ねたのは初めてかもしれない。ヴァルドナータの谷のぶどう畑にこの美しいマンドルロが満開に咲く風景の記憶はない。

辛口微発泡赤ワインのマンドルロ
ロヴェロ家にはこのアーモンドの花がラベルに描かれたワイン「マンドルロ」がある。辛口の微発泡赤ワインで、春らしい色合いの卵料理にも合う味わいだ。誰が飲んでも美味しいし、飽きが来ない。

北イタリアでも赤ワインは樽を使わなくなってきた
ロヴェロ夫妻との夕食では赤が2本出た。1本目はグリニョリーノ、2本目はバルベーラ。どちらもステンレスタンク仕込みで樽は使っておらず、軽やかな味わいだ。
グリニョリーノは皮が薄くタンニンをほとんど感じないくらい優しいから、前菜に向く。目を閉じて味わうと、ロゼかなと思うくらいだ。
バルベーラは皮が厚くタンニンはあるものの、低温で柔らかく抽出されているから軽めの肉のメインにちょうどいい。


ロヴェロ家で食事をして、樽を使った重いワインが出なかったのは初めてだ。食べた料理も昔のように重くないし、誰もアンティパスト、パスタ、魚のメイン、肉のメインという伝統的なコースでではなく、シンプルにアンティパストとメインか、アンティパストとパスタという2皿しか選ばない。そうすると自然と重いワインを飲みたいとは思わなくなる。
食生活が軽くなり、タンニンの強い樽仕込みの重い赤ワインから軽やかな赤ワインから、タンニンが控えめの軽やかな樽を使わない軽やかな赤ワインになってきた。フランスと同様に北イタリアもヘルシー志向が強い。もちろん樽がなくなった訳ではなく、普段と特別な機会を使い分けるのだろう。
食事が軽やかになったとはいえ、ピエモンテ人にとっては食事の締めにグラッパは欠かせない。写真を撮るのを忘れてしまったが、樽をかけたバルベーラのグラッパは格別だった。
田村安
マヴィ代表
著書の「オーガニックワインの本」(春秋社刊)でグルマン・クックブック・アワード
日本書部門2004年ベストワインブック賞を受賞
フランス政府より農事功労章シュヴァリエ勲章受勲
ボルドーワイン騎士Connétablie de Guyenne
マヴィ創立27周年記念オリジナルワイン&桜ロゼ