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コラム
オーガニックワイン専門店マヴィ自由が丘ひかり街店

マヴィ創立27年に思う|Small is beautiful

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1998年にマヴィを創立した当時、既存の酒販店を保護するため、酒販免許が厳しく制限されていた時代だった。今では信じられないことだが、参入するには廃業する酒販店を大金で購入するしかないと思われていた。

たった一人でマヴィを起業したばかりの僕にそんな大金はなく、困って税務署に相談したところ、何をしたいのかと問われ、「自社輸入したオーガニックワインを通信販売小売したい」と答えると、その限定条件付き酒販免許なら申請できると教えられた。幸い前職の上場企業はワインや焼酎、みりんを製造する大企業だったので、醤油の国際マーケティングしかやって来なかった僕に酒販経験者としての資格があると見做してくれた。

通販もインターネットがまだ普及する前の、郵送注文しか想定していない時代で、販売アイテムのリストやカタログなどを毎年税務署に提出するなど、細かい対応が必要だったが、とにかく開業することができたのはほとんど奇跡と言えよう。

一旦免許業者となると、その後は必要に応じて条件緩和を申請でき、飲食店向け小売、卸売、と徐々に広げ、2004年末には待望の一般小売免許を取得して、赤坂に日本初のオーガニックワイン専門店であるマヴィを開いた。

店内は20坪、イタリア産の石を敷いて珪藻土の壁の店舗スペースの陳列棚は長野県産杉厚板製、4畳半ほどのワインセラーも事務所も付いた贅沢な空間だった。

後年事務所を別に移して、跡地をキッチン付きイベントスペースに改装、たくさんのイベントを開催したが、コロナ禍を経て閉店し、2023年に自由が丘駅徒歩10分の静かな住宅街の7坪の小店に移転した。さすがに静かで駅からのアクセスも不便すぎた。近くの店が次々と閉店して寂しくなってしまい、先月、自由が丘駅並び徒歩1分半のひかり街の中に再度移転した。

今回の店舗は賑やかで便利だが、面積はわずか3.3坪、赤坂時代の1/6以下の狭さだ。コンセプトを絞り込み、大幅な断捨離をするしかない。発想を転換し、削ぎ落して残ったコンセプトが「エクスペリエンスストア」、実際にワインを飲んで試し、スタッフに相談して購入できる店だ。

ワインセラーは半分の大きさ、保健所から営業許可をもらうために流し台、食洗器、手洗い場、冷蔵庫等を備えたコックピットのようなスペースを立ち飲みカウンターで囲んだ。お客様とスタッフの距離は限りなく近い。とにかく狭いし、造作コストはぐっと抑えた。店に立つスタッフは一人だけ。贅肉は付けない。

この店は通信販売と一体と考えている。現在は準備中だが、レジシステムと通販システムを統合し、お客様のポイントの共通化と通販で購入していただいたワインを1本でも送料がかからずにお渡しできるようにする。

オープンコストもランニングコストも低く抑えた。これから1年程かけてオペレーションをまとめたら、ノウハウ公開しようと思っている。27年前と違い酒販免許も要件が大幅に緩和されているから、開業の障壁は無いに等しい。

28年目のマヴィへ向けた新プロジェクト『Small is beautiful』、ぜひご支援、ご賛同いただければこの上もない幸せと存ずる。

田村安

マヴィ代表
著書の「オーガニックワインの本」(春秋社刊)でグルマン・クックブック・アワード
日本書部門2004年ベストワインブック賞を受賞
フランス政府より農事功労章シュヴァリエ勲章受勲
ボルドーワイン騎士Connétablie de Guyenne

マヴィ創立27周年記念オリジナルワイン&桜ロゼ