2024年新年に思う|ローマにて
2024年、明けましておめでとうございます。
マヴィとして26回目の新年を迎えることができました。支えてくださる多くの皆様に感謝申し上げます。
本年も変わらずに本物のオーガニック生産者の想いをお届けしてまいります。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
今年の正月はローマで迎えた。
娘がローマの大学に進んだのを機に、昨秋よりローマにマンションを借りて、東京とローマの二拠点生活を始めることにした。
光ファイバー回線を引き込み、デスクトップに東京と同じ20インチディスプレイを据えた。ほとんどの仕事はWEB上で行えるし、自由が丘店にVPNで繋いで会社サーバも使えるから、一切不自由しない。
インターネット上に円とユーロのアカウントを開き、銀行を介さずに自在に送金も入金も行える。今回は現金両替を全くやっておらず、クレジットカード生活だが、市場でさえカード決済ができるから、こちらも不自由はない。
すごい時代がやってきたものだ。1970年代に留学した頃にはもちろん、1980~90年代の駐在員時代にも、マヴィを起業してヨーロッパを頻繁に往来した1998~2000年代にも、想像だにできなかった便利さというか、まるで国内にいるかのようにシームレスに仕事も生活もできている。
あとは滞在許可があればいいのだが、イタリア政府は簡単にビザを出してくれないし、EUのシェンゲン協定のおかげで「6か月間の内に3カ月間」しか滞在できないのが不便というか、国家というものはテクノロジーの進歩についていけないものなのだろう。
イスラエルの戦争の影響で、紅海を航行する船舶がイスラム教フーシ派の攻撃に晒されることになった。このためヨーロッパとアジアを結ぶ船は、南アフリカの喜望峰を回る航路を通るしかなく、スエズ運河開通以前の19世紀に戻ってしまった。
ワインを積んだコンテナー船は数千㎞余計な航海を強いられ、大幅に遅延するだけでなく運賃もかなり高くなってしまう。航海日数が長くなるということは、船の数が足りなくなるということにつながり、今後ヨーロッパの港には船積みできない荷物があふれることだろう。
発注したワインがいつ船積みできるか見込みが立たず、品切れが発生することも避けがたい事態、心苦しいがご理解とご寛容をお願いする。
これが2024年の現実だ。コロナ禍、ウクライナの戦争、円安と続き苦渋の連鎖だが、持続可能なマヴィを目指して走り続けていくしかない。
田村安
マヴィ代表
著書の「オーガニックワインの本」(春秋社刊)でグルマン・クックブック・アワード
日本書部門2004年ベストワインブック賞を受賞
フランス政府より農事功労章シュヴァリエ勲章受勲
ボルドーワイン騎士Connétablie de Guyenne