「オーガニックワインの歴史と今後の展望」JAPEXBIO代表 ジェラール・ボアソー・デシュアール氏スピーチ
2018年4月10日に開催されたマヴィ株式会社の創立20周年記念パーティで、マヴィの長年のパートナーであり、現地の生産者とのコミュニケーションやワインセレクトに多大なご協力をいただいているJAPEXBIO代表ジェラール・ボアソー・デシュアール氏よりご挨拶をいただきました。
(ボアソー氏)
親愛なる皆さん
すでに20年の時が経ちました。20年という時間は長い人類の歴史と比べると短いものでしょうが、この場にいる我々の誰にとっても、この過去20年間は、様々な発見や仕事、熱意、出会いや、分かち合う喜びに満ちた、とても密度の濃い時間であったといえるでしょう。
1988年以来、つまり30年前から、私はFFCC・フランス料理文化センターやCCIP・パリ商工会議所との関係があり、日本について知っていました。このような状況で田村氏との出会い、お互いにマヴィとJAPEXBIOを創設し、パートナーシップを築きあげていくことになりました。
我々の挑戦は、当時はまだフランスでさえも一般消費者にはほとんど知られておらず、ごく一部の愛好家のためのニッチなものでしかなかったオーガニックワインを、日本の消費者に紹介し、発展させて行くことでした。
この20年で物事は大きく変化しました。世界的に関心が高まることで、オーガニック製品、とりわけオーガニックワインの生産が加速していきました。近年フランスは、オーガニック製品において世界で主要な輸出国の一つとなり、オーガニックワインの生産は20年で1%から10%に増加しました。田村氏は今でも覚えてらっしゃると思います。フランスのモンペリエで最初に訪れたオーガニックワインの展示会には、わずか80軒の生産者しかいなかったことを。それが今年2018年の1月に行われた同じ展示会には、1000軒以上の生産者が参加していました。世界中でオーガニックワインの需要が高まっているのです。
オーガニックワインは生産量が限られるということで、慣行農業のワインよりも高価なものでした。その差は年を経るごとに縮まってきましたが、需要が非常に高まっていることとや、近年は霜の影響などによりまた生産量が大幅に減少しました。今日、オーガニックワインは、環境を重視し品質を求めている消費者にとっては他にない素晴らしい製品として認識されています。
マヴィは、品質の高い製品をセレクトし、それらを広めていくというポリシーを持って、お客様との信頼を築き上げ、また一方でワインの生産者は、私の国と異なるワインの文化を持った日本のお客様の声に応えてきました。
20年にわたるマヴィとフランスやヨーロッパの各生産者のパートナーシップの結果として、今日の協力関係、相互理解が確立されました。JAPEXBIOはこの冒険においては単なる仲立ちをしたに過ぎませんが、この関係が継続していくことを、非常に嬉しく思います。
私は、田村氏の信念と、オーガニックワインを日本に広め、販売するためのマヴィの取り組みに感謝します、また、フランスやヨーロッパの生産者に対しては、日本に対してオーガニックワインの先駆けともなる存在になってくれたことを感謝します。
何もなかったところから始まったものが、市場は進化し、今は世界中で競合する現状です。かつては珍しかったオーガニックワインは、今では目玉商品として様々な生産者が位置付けているほどです。競争が激化しています。ヨーロッパのワインが相変わらず文化的イメージを強く持っていたとしても、近い将来はその中で質の良いものだけが他と差を生み出し、生き残ることになるでしょう。
20年間、私たちは消費生活が質的に向上するために、また大切な地球環境を守るために、布石を打ってきました。
私たちは先駆者として行動をして来ました。この野心的な取り組みを続けていく方、引き継ぐ方、全ての方たちが、パイオニアとしての魂を失うことなく、新しいステージでも適応していくことを祈っています。
最後になりましたが、この場を借りて今回の記念パーティの運営に関わったすべての方に、御礼を申し上げます。私たちの活動は言うまでもなく、毎日の文化的な生活において小さな喜びを提供し、大地が我々にもたらしてくれる素晴らしい製品の価値を高めていくことにあります。この記念すべき行事はこの活動が過去から未来へと継続していく中での、一つの大きなステップになるかと思います。
フランス人歌手、パトリック・ブリュエルの歌「Place des grands hommes(偉人広場)」の歌詞にもこうあります、「10年後の同じ日、同じ時間にこの場所でまた会いましょう!」
皆さん、この特別な夜を一緒に楽しみましょう、ご参加ありがとうございます。