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旅の空

ガリシア~ポルトガル、ノスタルジックな夏休み1

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今年の夏休みをチェコかガリシアかと迷った挙句、リアスで揚がる新鮮な魚介類に魅かれ、スペインのガリシアに決めました。パリから乗り継げる空港はと探すと、ポルトガル国境のVigo。

ガリシアは留学時代の1979年に訪問したことがあります。イベリア半島内陸部のカスティージャ地方とは異なり、しっとりとした気候で緑が美しかったことと、茹でダコを酸味が強くアルコールの低めなリベイロの白ワインで味わった記憶が懐かしい所です。

成田21:55発のAF278便は一日仕事をした後で乗れるので毎度利用しているのですが、パリ・シャルルドゴール着が朝の4時半と、とんでもない時間!遅れてくれと祈っても、元々ゆっくりと飛んでいるため、まず遅れた験しがありません。Vigo行きは9:25発で5時間もありますが、じっと待つしかありません。
夜明け前の寝静まっていた空港は6時頃から動き始め、カフェなども開いてきます。7時過ぎからは発着便も増えるので人が少しずつ増え、8時~9時になると、混雑が始まり、荷物チェックに長蛇の列が出来ます。パリの荷物チェックは並みの日本人には耐えられないほどノロノロ、係官は私語優先でテキパキとは正反対の勤務態度。イライラ度が高まります。そしてようやく5時間の乗り換え時間が過ぎて、バスゲートから搭乗となりました。

Vigo行きは国際線のエールフランスとはいえ運行はエアーリージョナル、そのまま訳して「地方航空」!なんともローカルな路線です。洋の東西を問わず、航空会社は経営難。地方路線は維持が難しくなって、大会社からの資本が入って傘下になって来ています。エールフランス自身もオランダのKLM統合されてしまった程、経営が厳しいのです。

「地方航空」は左右二人掛けの狭い機体ですが、シートは革張りで快適。スチュワーデスもツンツンしておらず、却っていい感じです。車内じゃなかった、機内はとみると、さすがに地方航空、いかにもガリシアやポルトガルという感じの、どこかちょっと垢抜けないタイプの乗客がぎっしり。フランス人やスペイン人(カスティーリャ)に較べて背が低くがっしりしていて、顔付きがちょっと厳ついのが特徴です。言葉はガリシア語もポルトガル語もよく似ていて、スペイン語の抜けるような明るい発音ではなく、暗く口の中でこもるように聞こえます。

飛行時間はわずか2時間。30年前にパリ・オーステルリッツ駅よりの夜行列車を乗り継ぎながら2泊3日ではるばるたどり着いたという感覚からは信じられないくらいのあっけなさで、Vigoに到着。決して南国の強い太陽ではなく、湿気のある空気に弱められた陽光に迎えられます。今年はヨーロッパ全体で異常気象、ガリシアにも例年以上の雲が押し寄せて寒い夏になっています。

ガリシアは山と海の国で平地がほとんどありません。農業が振るわず、貧しい地方でした。山から海の境はリアス式海岸で、リア(深い入江)がたくさん入り組み、陸上交通は不便極まりないのですが、その分海上交通は発達していて、イベリア半島の大航海時代を支えたのはポルトガルからガリシアの船乗りたちであり、新大陸へ渡っていった移民の多くも、故郷にいてはまともな食事の取れないガリシア人やポルトガル人だったのです。

(続く)

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