コロナウィルス対策に空気殺菌機を設置してオーガニックワイン専門店マヴィ赤坂店再開
新型コロナ感染拡大のため2月26日より休業中だった赤坂店を再開する。武漢の都市閉鎖もそう長くはかからなかったし、まさか5ヶ月間も休業することになるとは想像もしていなかった。
新しい生活様式!
緊急事態宣言が解除されて、景気回復を最優先として緩和が行き過ぎ、あろうことか政府はGo toキャンペーンを開催。東京では毎日2~300人もの新規感染者が出る事態が続く中、感染を全国規模に広める気なのかと疑りたくなる。
一方デパートもショッピングモールも飲食店も営業再開となり、世間からは休業を続けるマヴィ赤坂店は、頑固で異質なもののように思われている気もする。
「新しい生活様式」、何とも玉虫色の言葉だ。コロナは怖いけど、仕事をしないと干上がってしまう。だから、だれが責任を取るのかわからないように、オブラートに包む言葉か。でも実ははっきりしている。お客様やスタッフが感染してしまったら、生命の危険と想像を絶する苦痛をもたらすことになる。
To open or not to open… 悩み抜いた上で再開を決めた。
空気中のコロナウィルスを殺菌
日本中の店で感染を防ぐ手段が講じられている。もちろん可能な手段はすべて取り入れよう。その中で赤坂店はどうすればいいのかと考えた時、空気殺菌に辿り着いた。換気の目的はきれいなウィルスのいない空気を入れること。ならば空気を殺菌して循環させればいいと。
赤坂店ではすでに実績がある。ワインセラーにカビが発生した時に自作導入した空気殺菌機で空気を浄化して、カビの増殖を抑えることに成功したのだ。同じ原理の装置は病院の病室でも使われている。
空気殺菌機は安価で簡単に作れる
殺菌蛍光灯とは、トイレのハンドドライヤーにも使われる青い光の殺菌ランプのこと。253.7nmの紫外線を放射して殺菌するのだが、人間にも有害なので、決して光を見てはいけない。病室の空気は当然ウィルスで汚染されるが、殺菌灯を室内で照射する訳にはいかないから、空気をダクトに引き込み、ダクト内で照射することで殺菌して、きれいな空気を病室に戻す。買うと高いが、仕組みは単純だから案外簡単に安く作れる。
空気殺菌機の材料
材料は、中間ダクトファン、殺菌蛍光灯とアルミフレキダクトとアルミテープだけ。
蛍光灯保持機具はLEDに押されてほとんど新規生産がなくなっているようだが、まだ入手は可能だ。ネットで探して、10W用は1000円程度。殺菌ランプも1000円でお釣りが来た。ダクトファン、アルミフレキ、アルミテープ、配線合わせても出費は1万円以内に収まる。
殺菌ダクトの製作
本来は電球交換等のメンテナンスをしやすいように殺菌灯ケースを作り、それをアルミフレキに繋ぐべきで、ワインセラーの時はそうしたが、今回は緊急時。とにかく早くしかもコストを押さえて何基も作らなければならない。そこでアルミフレキ内に殺菌灯を内蔵することに決めた!
まずはアルミフレキダクトを大型カッターナイフで切り裂き、広げて殺菌ランプを格納するスペースを作る。アルミフレキの切り口は手を切りやすいから、アルミテープで縁取りしておく。
この作業はケガの危険があるので、必ず軍手着用のこと!
切り開いた長さに合うように、アルミフレキを切って開いてカバーを作る。これもアルミテープで縁取りして保護する。
殺菌ランプに配線を付ける際、配線のコネクターだけで繋がっていると不安なので、蛍光灯保持機具と配線を銅線などで補強固定しておくことを勧める。
カバーを被せて空気が漏れないようにアルミテープを巻いて塞ぐ。
殺菌灯の寿命は約1年。寿命が来るとガラス管が真っ黒になって切れるから、殺菌灯と点灯管を毎年交換しなければならない。まあ蛍光灯の交換と同じだから簡単なものだ。その際にアルミテープを剥がして解体することになるが、軍手着用でケガ防止に努めよう。
空気殺菌機の取り付け
わかりづらい写真だが、奥の棚上に天井用ダクトファンを設置、先程作った殺菌灯ユニット2基を繋いでいる。ダクトファンは買い置きがあったパナソニックの物を使ったが、静音型なら何でも構わない。
飛沫は重いので、床に近いところから吸気し、殺菌灯ユニットで浄化した後ダクトファンを経て天井エアコンの吸気口付近に排気する。こうしておけばエアコンがきれいな空気を部屋中に拡散してくれる。
オーガニックワイン専門店マヴィ赤坂店ではこの空気殺菌ユニットを2経路設置した。それぞれに殺菌灯ユニットが2基付いているので、合計4ユニット。換気能力は計500㎥/h。実はワインセラーには元々15w殺菌灯の大容量空気殺菌機があり、合わせると750㎥/h。店内容積は170㎥位だから1時間で4.4回は空気殺菌済みの空気と入れ替わることになる。
新しい生活様式に沿った店舗営業
こうしてオーガニックワイン専門店マヴィ赤坂店を再開することにしたのだが、グラスワイン提供はなし、僕の講座を始め一切のイベントは開催しない。キッチンレンタルも廃止。営業日や営業時間も混雑を避けるため、無理のないように。入場人数制限。なにしろたくさんのお客様に来ていただき、クラスターになったら困るのだから。
これまで通りとは違う「新しい生活様式」に対応した赤坂店に、皆様のご理解と協力をお願いし、ぜひとも誰もが無事に営業を続けたいと願うだけである。
2020年7月23日
田村安
マヴィ代表
著書の「オーガニックワインの本」(春秋社刊)でグルマン・クックブック・アワード
日本書部門2004年ベストワインブック賞を受賞
フランス政府より農事功労章シュヴァリエ勲章受勲
ボルドーワイン騎士Connétablie de Guyenne
このブログを読んでいただいた精密プレス工業株式会社社長の橋爪翔太さんが、この空気殺菌機を製品化してくれました。スマートなデザインながら堅牢な製品に仕上がっています。 2022年1月28日追記