新型コロナウイルスで悩み考えたこと
新型コロナウイルスの感染拡大が連日報道されている。
感染者数は中国に次いで世界第2位、医師、看護師、救急隊員、厚生省検査官など医療関係者の感染増加など、あってはならないことが、いち早く発生。特効薬はまだ開発されておらず、マスクも消毒薬も不足。大変残念なことに 国内でも亡くなられた方が出てしまった。 日本国民は突如「最悪の事態に備えなければならない状況」に置かれている。
世界的に見て、日本政府の対策が遅く、かつ不十分で、中国政府におもねっていたとか言われているが、そんなレベルでなく、日本経済があまりにも中国に依存し過ぎていたので、中国に対して国境を閉ざすことができなかったのが本当のところだろう。「最長の好景気」などと浮かれていても、詰まる所、中国の経済成長で中国人の消費市場が拡大し、そこからのおこぼれに与っていた訳で、中国人ビジネスマンやインバウンドで大金を落としてくれる中国人観光客の入国を止めたくなかっただけ。つまりは「目先のお金が欲しい」ということが、「国民の命を守る」ということに優先したに過ぎない。それに、日本の衛生水準、医療水準は中国よりも高いから、「新型コロナウイルスが入って来たって怖くない」と高を括っていたのかもしれない。
だがコロナウィルスは強く、日本の政官民が抱いていたイルージョンをあっという間に打ち砕いてしまった。自動車工場の生産ラインが止まり、日本中の観光地は閑古鳥が鳴き、なにより「made in China」の使い捨てマスクが姿を消して慌てふためき、僕たちはようやく前回のSARSや鳥インフルエンザの時とは違う怖さに気付いた。前回はまだ「made in Japan」は健在だったし、街は中国人観光客で埋め尽くされてはいなかった。
何もかも中国に依存する日本はサステナブル「持続可能」な国とは言えない。こうなったのは「お金が一番大事」という拝金主義が日本を制覇したからだろうけど、何より大切なのは「健康に生きる」「幸せに生きる」の方だ。
僕は20年来、素晴らしいオーガニックワイン生産者たちに接してきた。みんなお金儲けには走らず、持続可能な暮らしを体現している人たちだ。本来の意味で「生きること」の大切さをよく知っている彼らの、都会の便利さとは程遠い畑や家や醸造所なら、新型肺炎が流行したってビクともしない。
悩んだ末、感染が終息するまでの間、マヴィ赤坂店を人の多い平日は休業とし、人の少ない土日祝のみ営業することにした (※2/26追記:土日祝の営業も取り止め、当面の間はマヴィ赤坂店を臨時休業といたします)。また赤坂の事務所スタッフは自宅勤務として、テレワークで働いてもらうことにした。 イベントは全て中止。
(※2/26追記:当面の間はマヴィ赤坂店スタッフもテレワークしてもらうことにした。)
そう、生きてさえいればどうにかなる。
マヴィはオーガニックワインを通じて持続可能な考え方を紹介している。お金を第一には考えていない。でも東京のど真ん中で店や事務所を構えていると経費は掛かる。その経費と社員の命を較べた時、僕は命を守ることの方が重要だと思う。
過剰反応、臆病と思われるかもしれない。
しかし「三十六計逃げるに如かず」。
感染はきっと収束する。それまでは掛かる負担に耐え、忍んで生き延びよう。
田村安
マヴィ代表
著書の「オーガニックワインの本」(春秋社刊)でグルマン・クックブック・アワード
日本書部門2004年ベストワインブック賞を受賞
フランス政府より農事功労章シュヴァリエ勲章受勲
ボルドーワイン騎士Connétablie de Guyenne