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今日も美味しく、楽しく、気持ちよく――未来につながる日々の暮らし

【第50回】情報との付き合い方

徳島・神山町からお届けする、美味しく、楽しく、気持ちよい「未来につながる日々の暮らし」

徳島県神山町に在住の長谷川浩代さん。自然豊かな神山での生活や、ワインと楽しめるおいしい食のことなど…定期的にこのスペースで色々なお話を聞かせて頂きます。今回は気づかないうちに溺れていそうな情報について。私たちが「情報」と思う情報って一体何でしょうか。沢山あるように感じる「情報」ですが必要性をどう判断するか難しい点が多いですね。そして寒いほど美味しく感じる、煮込み料理とロワールのナチュラリストが作る赤ワインのご紹介もしています。[月2回更新]

■「情報」を得る時間と量、そして本当に必要な情報

今年もまた蝋梅の花が満開になり、終盤を迎えつつあります。空気がすきとおった冬の青空に、淡い黄色のこの花はとても美しく映えます。近くにいると漂ってくるちょっとエキゾチックな香りも、この季節を表すものとして記憶に刻まれてきました。ここ最近では1番の大雪が降ったりもして、まだまだ油断はできませんが、空気や日差しに春が少しづつ近づいていることを感じる日も確実に増えています。

蠟梅と青空

これを読んでくださっている方が、どんな場所で、どんな職業について、毎日どんな風に過ごしておられるのか知るよしもありませんが、現代の日本に住んでいるという点で、ある程度共通していることはあるのかなと思っています。ただ私がここで連載していることに何を思うか、感じるか、共感、ピンと来ない、何も感じない、新しい視点になったなど、それは話題や暮らしや年代によっても全く違うだろうと思います。今回はここ最近の私が感じている、私たちを取り巻く「情報」という環境についてお話ししてみます。

今現在、私自身はひと言で表現するなら「情報が多すぎる」と感じています。私は比較的情報を取りに行かない部類の人間で、テレビのない生活は2000年の終わりから続いているのでもう20年以上。新聞もとっていません。アプリやメールニュースでちょっとしたニュースのチェックくらいはしていますが、一般的な人からするとだいぶ知らないことが多いと思います。
それでも、メールやSNS、勤務先からシェアされること、それに付随して目にすること、買い物するにもネットショッピングだと際限なく調べることができて、欲しいのは1つだけなのに、無数の情報が目の前に提供されます。そうこうしているうちに、別の情報が飛び込んできて、急ぎや大事なことじゃなければ放っておいたり、無視することもできますが、目に飛び込んだものって意外と頭の隅に残っていて、完全におしまい、と自分の中で完結していないと、頭や気持ちの隅っこがいろんなこういうものの断片で埋め尽くされていくような感覚。

「いつかは使うかも」とか「こういう時には役に立つから」と思って、なかなかすっと捨てられないリアルな物と同じように、情報もまたそんな形で頭や心を占拠してくるように思います。そういうものを整理する能力が格段に高い人は、むしろ情報は多い方が判断材料が増えていい、という評価になるのでしょうし、私としてもこれまで簡単に知ることもできなかった事柄が一瞬で手に入る現代は本当にすごいしありがたいと思ってはいます。整理していつでも必要な時に使えるアプリ等もたくさん開発されているので、上手に付き合えばささっと分類して、登録してしまって瞬時に自分の頭の容量を空けてしまえるのかもしれません。

とはいえ、ここまで情報へのアクセスが簡単でなかった頃は、書籍や文章に対しても、もっと集中して、内容をしっかり読み取ろうという力が働いていたように思います。もう少し丁寧に接していたように思うのです。恐らく巷に溢れる情報も明らかに質より量になってしまっていて、情報は信じられないくらいたくさんあるのに、本当に欲しい情報にはどうやったらたどり着けるのかがわからないような、不思議な事態になっているようにも思います。
処理しないといけないことが多すぎて、大切なことが抜け落ちているんじゃないかとか、本来求めている、そこにこそ自分の力や時間を注ぎたいと思うことになかなか集中できてないんじゃないかと感じているのです。
つまり、できるだけそぎ落として、雑音に惑わされず、大事なことに集中したいってことですね。そうは言っても、雑音と思っていたことの中に大切なことや、そのものでなくてもヒントが潜んでいることもあるので、ただ削ぎ落とすことが得策でもなく。心地よい付き合い方は、意識して探っていく必要がありそうです。

■寒さもスパイス?ロワールの赤ワインと煮込み料理

今日開けるのはロワールの赤。ボアザール家のファビアンは、筋金入りのエコロジストで自分の家も考えうる限りのエコシステムを採用しています。
マヴィ在職時にも工夫を凝らした家を建設していましたが、2017年にオニヴァの仲間と訪れた際は、それがまた何歩も前進していました。断熱材が隅々まで行き届いた建物には最新式の空気圧を活用した、排泄物が瞬く間に吸い込まれていくお手洗いの設置も始まっていました。コロナウイルスの行方次第で状況はわかりませんが、今はあの新しい建物が、ドメーヌを訪れる数々の人を迎えていることと思います。今日はそんなファビアンの送る陽気なラベルの気楽な1本。

チーズが決め手。牛肉でも良いけどその時はチーズ無しでもいいと思います

ブランドフォリーはパーティとか、騒ごうぜ、飲もうぜ!というどんちゃん騒ぎをイメージさせる名前から、楽しくたくさん飲んで欲しいという気持ちが伝わってきます。赤だけれど気構えることなく、なんとでも美味しく楽しみましょう。寒い日だったので、家にあった野菜と鶏肉をポトフのようにコトコト煮ました。味付けはゲランドの塩とプロヴァンスハーブを香り付けに。ちょっと物足りないかもなあと思って、最後にチーズをたっぷりのせて、夏の思い出のバジルペーストをちょっと添えてできあがり。鍋に入れて火にかけるだけの、本当に何もしなくて出来てしまうお手軽ごはんとハッピーなワインでどうぞ温まってください。

先週降り積もった雪、こんな寒い日は煮込み料理を是非!

(2022.02.24)

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